ジェネリック医薬品とは、新薬(先発医薬品)と同じ有効成分を使った薬のことです。これらのお薬は、品質、効果、安全性が先発医薬品と同等であり、厚生労働大臣の承認を受けた医薬品です。
ジェネリック医薬品は、医療制度において重要な役割を果たしており、多くの患者に利益をもたらしています。
ジェネリック医薬品の特徴
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を含んでいるだけでなく、その量や純度も同等であることが求められます。
これを有効成分の同等性といいます。また、製造方法や品質管理についても厳しい基準を満たさなければなりません。これを品質の同等性といいます。
有効成分の同等性と品質の同等性を確認するために、ジェネリック医薬品は、先発医薬品と比較して、吸収や排泄などの生体内動態や臨床試験などの評価を受けます。
ジェネリック医薬品の先発医薬品との違い
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同等の効果・安全性を持つことが厳しく審査されています。
有効成分の同等性は、血中濃度や吸収速度などの生物学的同等性試験で確認されます。
品質についても、製造工程や管理体制などの基準を満たすことが必要です。
ジェネリック医薬品の利点は、先発医薬品よりも安価であることです。
これにより、患者さんの負担を軽減するだけでなく、医療費全体の抑制にも貢献します。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同様に信頼できる医薬品です。
ジェネリック医薬品の利点
日本が先進的な医療制度を持つ国であるにもかかわらず、ジェネリック医薬品を普及させる理由はいくつかあります。
医療費削減への寄与
ジェネリック医薬品は、先発医薬品よりも安価に製造・販売されるため、医療費の節約につながります。
日本では、ジェネリック医薬品の普及率が低く、医療費の高騰が問題となっています。
政府は、2020年度までにジェネリック医薬品の使用割合を80%以上に引き上げることを目標としていました。
この後、2021年6月の閣議決定において2023年度末までにすべての都道府県で80%以上とする新たな目標を定めています。
なお、厚生労働省の「保険者別の後発医薬品の使用割合(令和3年9月診療分)」によると、全国的なジェネリック医薬品の使用割合は79.24%でした。
患者へのアクセス向上
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同等の品質・安全性・有効性を保証されています。
価格が安いことで、患者の自己負担額が減少し、必要な治療を受けやすくなります。
さらに、ジェネリック医薬品の増加は、先発医薬品の供給不足や廃盤などのリスクを低減することも期待されます。
製薬業界における競争の重要性
ジェネリック医薬品は、先発医薬品に対抗するために、技術力やサービス力を高める必要があります。
これは、製薬業界全体のイノベーションや品質向上に寄与すると考えられます。
ジェネリック医薬品の開発は、新たな市場やニーズに応える機会を提供することもできます。
オーソライズドジェネリックとは?
オーソライズドジェネリックとは、新薬の開発者が自らの特許を放棄して、他社にも同じ成分・製法・品質の医薬品を製造・販売させることを許可したジェネリック医薬品のことです。
オーソライズドジェネリックのメリットは、新薬と同じ品質を保証されながら、価格が安くなることです。
また、新薬の開発者は、特許期間中に他社からのライセンス料を受け取ることができます。
ジェネリック医薬品との違いは、オーソライズドジェネリックは新薬の開発者が自ら許可したものであること、そして、新薬と同じ製法で作られていることです。
ジェネリック医薬品は、特許期間が切れた後に他社が独自に開発したものであり、製法や添加物などが新薬と異なる場合があります。
ジェネリック医薬品はどうして先発医薬品に比べて安価なのか
ジェネリック医薬品は先発医薬品に比べて安くなる主な理由は以下の通りです。
研究開発コストの削減
先発医薬品の開発には多額の研究開発費用がかかり、新薬の発見から市場投入までに多くの年月がかかります。
一方、ジェネリック医薬品は既存の有効成分を使用し、新薬の研究開発工程を省略できるため、開発コストが低減するわけです。
特許の切れた後の競争
先発医薬品の特許期間が終了すると、他の製薬会社が同じ有効成分を含むジェネリック医薬品を製造できるようになります。このため、価格が下がるのです。
開発期間の短縮
ジェネリック医薬品は新薬の研究開発プロセスを省略できるため、市場への導入が早く、開発にかかる期間が短縮されます。これにより、製造コストが低減し、価格が下げられます。
薬価競争
ジェネリック医薬品は多くの製薬会社から提供されるため、価格競争が激しくなります。これは患者にとって価格が抑制され、選択肢が増えることを意味します。
品質と効果の確保
ジェネリック医薬品は品質と効果の確保が厳密に監視され、厚生労働大臣の承認を受けるため、患者への安全性が確保されています。
ジェネリック医薬品は、これらの要因により先発医薬品に比べて安価に提供され、医療費の削減とアクセス向上に貢献しています。
ジェネリック医薬品の安全性と品質管理
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ品質と安全性を有することが求められますが、価格は先発医薬品よりも安くなっています。
安全性と品質管理には、厚生労働大臣の承認プロセスと、製造者や販売者による品質管理と安全性確保の取り組みがあります。
厚生労働大臣の承認プロセスでは、ジェネリック医薬品の製造者は、
・先発医薬品と同じ有効成分を含むこと
・同じ効能・効果を示すこと
・同じ用法・用量で使用できること
・先発医薬品と同等の品質を有すること
などを証明する必要があります。
これらの証明には、化学的・物理的な性質や製造方法の詳細な記述、生物学的同等性試験や安定性試験などの実験データ、臨床試験などの結果が必要です。
厚生労働大臣は、これらの情報をもとにして、ジェネリック医薬品の安全性と有効性を審査し、承認します。
品質管理と安全性確保の取り組みでは、ジェネリック医薬品の製造者や販売者は、承認後も定期的に製品の品質や安全性を確認し、問題があれば速やかに対策を講じる必要があります。
また、副作用や不良事象などの報告を受けた場合には、その原因や影響を調査し、必要に応じて製品の改善や回収などを行います。
さらに、ジェネリック医薬品の使用状況や効果・安全性に関する情報を収集・分析し、公表します。
これらの取り組みによって、ジェネリック医薬品の品質と安全性が維持されます。
ジェネリック医薬品の普及が進まない理由とは
日本ではジェネリック医薬品の普及率は高くなく、世界的に見ても遅れています。その理由として、以下のような要因が考えられます。
知識不足によるジェネリック医薬品の誤解
多くの患者や医師は、ジェネリック医薬品に対して不安や疑念を抱きがちです。
ジェネリック医薬品は安価であるため、品質や効果が劣るという誤ったイメージを持っている人もいます。
また、ジェネリック医薬品の種類が多く、同じ成分でも製造方法や添加物が異なることから、副作用やアレルギーのリスクが高まると考える人も少なくありません。
これらの誤解は、ジェネリック医薬品に関する正しい情報や教育が不足していることに起因しています。
先発医薬品の影響
一方で、患者や医師は先発医薬品に対して強い信頼を持っています。先発医薬品は長年にわたって研究開発され、広く使用されてきた歴史があるからです。
そのため、先発医薬品は効果や安全性が確かであるという信頼感があります。
また、先発医薬品は高価であることから、価値やステータスを感じる人も。これらの理由から、ジェネリック医薬品への切り替えを妨げています
日本国内のジェネリック医薬品はどこで生産されている?
日本国内のジェネリック医薬品は、複数の製薬会社や工場で生産されています。
ジェネリック医薬品の生産は国内外の複数の施設で行われ、それぞれの製薬会社によって異なります。
以下は一般的なジェネリック医薬品の生産拠点といくつかの製薬会社です。
日本ジェネリック株式会社
日本ジェネリック株式会社はジェネリック医薬品の製造販売を行っており、自社の工場で生産しています。
他の製薬会社
日本国内には多くの製薬会社がジェネリック医薬品の製造を行っており、各社の工場で生産されています。
これらの会社には、エーザイ、武田薬品工業、大塚製薬、ファイザーなどが含まれます。
国外からの輸入
一部のジェネリック医薬品は国外から輸入されています。
これらの製品は、海外の製薬会社や工場で生産されたもので、日本国内で販売されています。
ジェネリック医薬品は国内外の工場で生産されています。
各ジェネリック医薬品には製造元や製造場所が明示されているので、気になるなら確認してみてください。
ジェネリック医薬品を処方してもらうには?
受診時にジェネリック医薬品にできるか医師や薬剤師に相談してみましょう。
窓口で保険証と一緒に「ジェネリック医薬品お願いカード」を提示すると、簡単に伝えることができます。
ジェネリック医薬品お願いカードは自治体や健保組合から配布されています。
以下からもダウンロードできます。
まとめ
ジェネリック医薬品は、医療分野において重要な役割を果たしています。その定義と特徴、そして利点によって、患者へのアクセス向上と医療費の削減が実現され、健康な社会の構築に寄与しています。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同等の品質、効力、および安全性を提供し、特許の有効期間が切れた後に市場に登場します。この競争により、医療費が削減され、多くの患者が費用対効果の高い治療法を受けることができるのです。
ジェネリック医薬品の利点は多岐にわたり、医療制度全体にポジティブな影響をもたらしています。
患者は医療費を節約でき、同時に高品質の治療を受けることができます。また、医療機関や保険制度にとっても負担を軽減し、リソースを効果的に活用できるようになります。
この重要な医薬品分野における進歩は、世界中の患者と医療従事者にとって喜ばしいものであり、継続的な研究と発展が期待されています。