薬草

薬の始まり

薬は人と共に歩んできて、人が誕生すれば傷や病も誕生しているので、それに伴って薬も誕生しました。
人類が原始時代のころは、薬と言えば身近にある木の実や木や草などであり、現在の漢方薬に近いものがあります。
それは多くの経験から生まれたものであり、時には草木が毒にもなって人に害を与えたこともあります。
その経験が積み重なり、後に伝えられていき、さらに多くの薬を生み出していくのです。

記録にある薬

古代文明時代になると、農耕などの発展と共に、更に薬も発達していきます。
メソポタミヤやインダスなど各文明地域ごとに、それぞれの医療が発達し、その中で薬も生まれていきます。
古い書物としてはローマ軍の軍医として従事していたディオスコリデスが記載した薬物書があり、中国最古の薬に関する本としては神農本草経があります。
これらの本には、薬の解説が書かれており、病気を予防する薬や毒にあるものや、更には現在でも漢方として使われている薬も書かれています。
後にこの本は日本にも伝えられています。

日本での薬

日本では薬に関する記録は6世紀頃まで遡らないとなく、それ以前の記録はほとんどありませんが、縄文時代や弥生時代でも想像以上に食生活が発達していたと考えられるので、薬もあったと考えるべきでしょう。
日本の最古の本の一つの古事記にも薬を使った記録があります。
ただし何処の国に関しても、昔は病になれば薬をメインとして使ったのではなく、加持祈祷を行って病が治ることを祈ったとされています。

実際に中世時代は、ヨーロッパなどでも病になれば病人の体の一部を刃物で少し切り、そこから悪い血を出すというような治療が行われていました。
これは瀉血といい、現在では限定的にしか使われない方法です。
近代になるまではたとえ病気になったとしても、その病の症状や原因を特定することは難しく、悪魔の仕業などとされていた時代もあります。
ただし一部の地域では、現在でも通用するような医療の考えに基づいた対処法をしていたこともあります。

薬の発展と今後

西洋から日本に薬の知識がもたらされ、徐々に世界中で薬が発展し、更には医療の進歩によって病の原因を特定できるようにもなっています。
不治の病とされていた病気でも治るような病もあり、今後もさらに多くの難病が薬と医療の発展と共に治るようになっていくでしょう。

さらに現在は病は心と深く関わっているような場合もあると考えられています。
そのために体の症状のみならず、精神的な病も治そうという試みもあり、セラピーという形で治療が行われ、薬の定義も少し変化しています。
錠剤などの見えるものはもちろん薬ですが、音楽療法などの現在はまだどのように作用するかわからないようなものも、時には薬と言われることもあります。